腓骨筋腱脱臼は普通の脱臼とは異なり『腱』の脱臼になります。
まず腓骨筋について簡単に説明していきます。
腓骨筋は下腿部の外側に存在し、長腓骨筋と短腓骨筋の2種類が存在します。
作用は足の底屈・外反となります。
腓骨筋は外果(がいか:外くるぶし)の後ろから回り込むように腱が走行します。
緑○ : 外果 青線 : 腓骨筋腱
この腓骨筋腱は外果より前に飛び出さないように『筋支帯(きんしたい)』と呼ばれる帯に守られております。
では、次に腱脱臼の原因と症状について書いていきたいと思います。
【原因】
足関節の急な背屈動作で起こることが多いと言われます。
*腱炎の場合は内反動作(捻挫肢位)で起こることも多いです。
*背屈動作とは上の絵のように足の甲が持ち上がる動作
急な背屈動作が起こると上の絵のように腱が急な緊張により外果方向にテンションがかかり、筋支帯を破いて外果前方に腱が脱臼します。
【症状】
足の捻挫に類似した症状が多いです。
外果後方にが痛み(運動痛・圧痛)と腫れ、場合によっては内出血を起こします。
脱臼は足を底屈させれば元に戻るので、脱臼したことに気付かず、捻挫と判断されてしまうこともあるようです。
【治療】
・保存療法の場合
受傷後すぐの場合は筋支帯の修復が見込まれるので足関節底屈位で1か月ほど固定します。
・手術療法の場合
筋支帯を縫い合わせて脱臼を防ぎます。
リハビリ期間もふくめ3か月ほどでスポーツ復帰を目安とされます。
腓骨筋腱の脱臼は先ほども書いたように、捻挫と間違われることがあり、確定診断に時間がかかることが多いです。
もし、捻挫したと思ってもくるぶしの後ろ側に痛みがあったり、腱の動きがおかしかったり、変な音がするようなら腓骨筋腱脱臼を疑いましょう!!