男性更年期障害は日本でも十数年前から知られるようになりました。
症状が現れているのに自覚していない男性がまだ多いようです。
男性更年期障害とは、加齢に伴う男性ホルモン(テストステロン)の低下によって引き起こされる症状のこと。
医学上はLOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)と呼ばれています。
発症するのは40代後半ごろからで、患者さんが最も多いのは50~60代です(70~80代で症状を訴える方もいます)。
一般に、テストステロンの量は10代前半から急激に増え始め、20歳ごろをピークに年齢とともになだらかなカーブを描いて減少していきます。
ところが何らかの原因でテストステロンが急激に減少してしまうと、体はバランスを崩し、さまざまな不調を引き起こすのです。
テストステロンを減少させる要因はいくつかあり、その代表的なものがストレスといわれています。
テストステロンは大脳の視床下部からの指令によって主に精巣でつくられますが、心理的ストレスを長く受け続けて交感神経優位の状態が続くと、大脳から「テストステロンをつくるな」という指令が出されてしまうのです。
男性の50~60代に患者数が多いのは、加齢によるテストステロンの減少に加えて、職場でも家庭でもストレスの多い時期だからといえるでしょう。
症状は大きく身体症状と精神症状に分けられます。身体症状は、朝立ちの消失や勃起不全(ED)といった男性機能の低下がまず挙げられます。
ほかにも、のばせ・多汗、全身倦怠感、筋肉や関節の痛み、筋力低下、骨密度低下、頭痛・めまい・耳嶋り、頻尿など精神症状としては、不眠、無気力、イライラ、性欲減退、集中力や記憶力の低下などとともにうつ症状が出る場合もあります。
さらに、男性更年期障害になると、メタボリックシンドローム、心筋便塞、脳梗塞やがんなどの生活習慣病のリスクが高まることもわかってきました。
ことからも、テストステロンというホルモンが男性にとっていかに幅広く大きな役目を担っているかがわかります。
以上のように、症状は多岐にわたっており、人によって現れ方はさまざまです。
どれをとっても男性更年期障害と知らなければ「年のせいかな?」と思い込んでしまいそうな症状なので、放置して重症化してしまうケースも珍しくありません。